iDeCoを運用するメリットとは| つみたてNISA・NISAとの違いについて

積み立て投資でつみたてNISAとNISAの他に、iDeCoっていうのがあるみたいだけど、どんな制度なんだろう?

つみたてNISAやNISAと何が違うの?

そんな方のためにiDeCoを運用するメリットや、iDeCoが向いている人と向いていない人についてわかりやすくお伝えします!

積み立て投資にはつみたてNISAとNISAの他に、iDeCo(イデコ)という制度があります。

しかし、

「他の制度との違いがよくわからない」

「自分にはどれが合っているのか知りたい」

という方も多いと思います。

そこで今回は、

  • iDeCoのメリット・デメリット
  • iDeCoを運用するときの2つの注意点
  • iDeCoが向いている人・向いていない人

などについてご紹介します。

投資を始めてみたいけれど、それぞれどのような特徴があるのか知っておきたいという方や、自分の目的にあった投資方法を選びたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

iDeCoとは

はじめに、iDeCoについて簡単に解説します。

iDeCoとは個人型確定拠出年金と呼ばれ、厚生年金や国民年金といった公的年金とは別に、自分で金融商品を選んで運用する私的年金のことを指します。

国民年金に加入している65歳未満の人が加入でき、老後資金を貯めるためにおすすめの制度です。

年金という性質上、原則として60歳まで資産の引き出しができませんが、掛け金の所得控除や受け取り時に控除を受けられるため、節税効果が高いのがiDeCoの大きなメリットです。

公的年金とiDeCoの違いについて

厚生年金や国民年金の場合、企業や国が運用をしますが、iDeCoは個人で運用するためすべて自己責任となります。

元本保証もないので、リスクを考慮して慎重に運用しましょう。

iDeCoの加入条件について

iDeCoは20歳以上で、国民年金の被保険者で65歳未満であれば加入でき、海外に居住している方でも国民年金を支払っていれば継続できます。

※国民年金の保険料の免除または一部免除を受けている方は加入できません。

iDeCoの拠出額の上限について

続いて、iDeCoの1年間の拠出額についてお伝えします。

拠出額の制限はそれぞれの状況によって変わりますので、ご自身がどれに当てはまるのかチェックしてみてください。

第1号被保険者      月額6.8万円      
第2号被保険者(会社に企業年金がない)月額2.3万円
第2号被保険者(企業型DCのみ加入)月額2万円
第2号被保険者(DBと企業型DCに加入)月額1.2万円
第2号被保険者(DBのみ加入)月額1.2万円
第2号被保険者(公務員など)月額1.2万円
第3号被保険者月額2.3万円
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html

第1号被保険者:自営業・フリーランスなど
第2号被保険者:会社員・公務員など
第3号被保険者:専業主婦(夫)

企業型DC:企業型確定拠出年金
DB:確定給付企業年金、厚生年金基金など

iDeCoの3つのメリット

ここからは、iDeCoを運用するメリットについて解説します。

積み立て投資やiDeCoにしかないメリットを知りたいという方は、ぜひご確認ください。

1.運用で得た利益が非課税になる

メリットの1つ目が、つみたてNISAとNISA同様、運用して得た利益が非課税になることです。

通常の投資だと利益に対して約20%の税金が課税されますが、iDeCoで運用すると利益をそのまま受け取れます。例えば、1年で24万円を運用して利益が6万円出た場合、iDeCoだと30万円すべて受け取れますが、通常の投資だと約28万8,000円になってしまいます。

このように、非課税で運用できるのは大きなメリットです。

2.掛け金すべてが所得控除を受けられる

2つ目が、iDeCoで運用すると掛け金のすべてが所得控除の対象となることです。

確定申告や年末調整で申告すれば、所得税(一部住民税)の控除が受けられます。収入から経費(会社員などは給与所得控除)と所得控除を差し引いた金額(課税所得)に税率をかけて計算し、所得控除額を出します。

iDeCoで運用した場合は、所得控除額に上乗せする形で掛け金に税率をかけた分が控除されます。

控除される金額の目安は下記の通りです。

課税所得金額税率控除額節税額:月額掛け金(6万円)節税額:月額掛け金(12万円)
195万以上~330万円10%9万7,500円6,000円1万2,000円
330万以上~695万円20%42万7,500円1万2,000円2万4,000円
695万~900万円23%63万6,000円1万3,800円2万7,600円
https://www.smbc-card.com/like_u/money/ideco.jsp

3.受け取り時に税制優遇が受けられる

3つ目が、積み立てた資産を60歳以降に年金または一時金として受け取るときに、控除を受けられることです。

iDeCoの場合、5年~20年の間に分割して受け取る年金方式か、一括で受け取る一時金方式を選択できます(掛け合わせも可)。

年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となります。

公的年金等控除の対象となるのは、65歳未満は60万円まで、65歳以上だと110万円まで

退職所得控除は800万円まで

iDeCoの3つのデメリット

続いて、iDeCoを運用するデメリットについて解説します。

iDeCoを運用する際は、デメリットについてもきちんと学んだ上で始めましょう。

1.60歳まで資産を引き出せない

デメリットの1つ目が、iDeCoの場合原則60歳まで資産を引き出せないことです。

途中で積み立てた分を引き出せないため、病気にかかって多額の治療費が必要になるなど、急な出費が発生したときに困らないよう余裕をもって運用していきましょう。

万が一経済状況が厳しくなった場合は、資格喪失届を提出すれば積み立てを停止でき、運用を継続すれば60歳以降に受け取ることができます。ただ、積み立て金額は停止した時点で止まってしまうので、掛け金を減らすなどして積み立てを続けるのがおすすめです。

2.手数料がかかる

2つ目が、iDeCoの場合は加入・移換時手数料や、加入者手数料、口座管理手数料などの各種手数料がかかることです。

加入・移換時手数料(2,829円)は加入または移換したときのみですが、加入者手数料(105円)、口座管理手数料は毎回かかります。口座管理手数料は金融機関によって異なり、最安値は171円、最高値は589円と大きな開きがあります。

少ない金額のように感じますが、iDeCoを30年間運用したときに、最安値の場合は手数料が61,560円なのに対し、最高値は212,040円と約14万円も多くかかってしまいます。そのため、金融機関を選ぶ際は、口座管理手数料がいくらかかるかも調べておきましょう。

3.受け取り時に税金がかかる場合もある

3つ目が、60歳以降に資金を受け取るときに、退職金が多いと税金が課税される場合があることです。

メリットの3つ目で、一括で受け取るときにに退職所得控除を受けられるとお伝えしましたが、退職金と合わせて給付金が一定の金額を超えると、その分課税されてしまいます。そのため、自分は分割して受け取るのと一括で受け取る方のどちらがお得なのか、きちんと調べてから手続きをしましょう。

退職所得控除額は、勤続年数が20年以下の場合は勤続年数×40万円
勤続年数が20年以上の場合は(勤続年数ー20年)×70万円+800万円で計算します

iDeCoを運用するときの2つの注意点

この章では、iDeCoを運用するときの注意点について解説します。

iDeCoを運用する際は、これからお伝えする注意点も踏まえて利用してみてください。

1.10年以上加入していないと引き出せない

1つ目が、iDeCoは10年以上加入していないと、60歳を過ぎても引き出せないことです。

掛け金を支払った期間(加入者期間)と、積み立てはせず運用のみを行った期間(運用指図者期間)を合わせて10年が必要で、要件を満たしていないと最長65歳まで引き上げられてしまいます。

こうした理由から、加入時期もよく考慮してから運用を開始しましょう。

2.会社を退職するときは移換手続きが必要

2つ目が、転職または離職する際にiDeCoの移換手続きが必要になることです。

退職を機にiDeCoから企業型確定拠出年金への移動、または企業型確定拠出年金からiDeCoへの移動をしたいときは、手続きを行ってからでないと移換ができません。転職先の企業型確定拠出年金に移換できるかや、iDeCoに継続して加入できるかは企業によって異なるので、人事または労務の担当者に確認してみてください。

なお、退職して引き続きiDeCoに加入する場合は、被保険者種別、または登録事業所の変更の手続きが必要です。

退職後6か月以内に移換手続きを行わなかった場合、国民年金基金連合会に自動移換されます。

自動移換されると資産の運用はされず、管理手数料がかかってしまうので、継続したい方は必ず手続きを済ませましょう。

iDeCoが向いている人・向いていない人

ここからは、iDeCoが向いている人と向いていない人について解説します。

どの投資方法にするか迷っている方は参考にしてみてください。

iDeCoが向いている人

iDeCoが向いている人は下記の通りです。

  • 老後資金を貯めるために運用したい方
  • 節税対策をしたい方
  • 所得が多い方
  • 自営業・フリーランスの方
  • 20代~30代の方

iDeCoは老後資金を貯めるのに適した制度なので、今のうちから老後に備えたいと思っている方におすすめです。また、iDeCoのメリットでもお伝えした通り、様々な控除を受けられ、所得金額が高い方が節税効果が高いので、節税をしたい方や高所得者の方にぴったりです。

なお、自営業またはフリーランスの方は国民年金に加入することになっていますが、国民年金は支給される金額が少ないため、iDeCoを活用して自分で老後資金をまかなうと安心でしょう。

さらに、20代~30代の若いうちから始めておけば運用期間が長くなるので、資産金額もその分多くなることが期待できます。

iDeCoが向いていない人

一方、iDeCoが向いていない人は下記の通りです。

  • 預貯金が少ない方
  • 専業主婦(夫)・パート・アルバイトの方
  • 住宅ローン減税で還付を全額受けている人
  • 子供の教育資金や家の購入費に充てたい方

預貯金が100万円を下回っているという方は、iDeCoの運用に資金を回してしまうと、急な出費が必要になったときに家計を圧迫してしまいます。

また、所得税が非課税になるのがiDeCoのメリットですが、専業主婦(夫)やパート、アルバイトの方で、無収入または所得税が非課税になっている場合はメリットを活かせません。同じく住宅ローン減税で所得税・住民税の還付を全額受けている方も、iDeCoのメリットを活かせないため、加入はおすすめしません。

なお、iDeCoは原則60歳まで引き出せないので、子供の教育費や家の購入費のために運用をしたいという方は、iDeCoよりもつみたてNISAやNISAがおすすめです。

口座開設の流れ

最後に、iDeCoの口座を開設するまでの流れについてお伝えします。

iDeCoの口座を開設するまでの流れは下記の通りです。

  1. 金融機関を選ぶ
  2. 加入の手続きをする
  3. 加入申出書と事業主証明書(会社員または公務員の場合)を提出
  4. 国民年金基金連合会の審査
  5. 口座開設完了

まずは、iDeCoを運用する金融機関を決めましょう。iDeCoを運用する場合口座は1つしか開設できず、金融機関の変更には手続きが必要になるため、複数の会社を比較して慎重に決めるのがおすすめです。

金融機関を選んだら、iDeCoの加入手続きをします。加入手続きはスマホで簡単にできるところもあり、10分ほどで手続きできます。

手続きが完了したら各種必要な書類を提出し、国民年金基金連合会の審査を受けます。審査の結果が出るまでは1~2ヶ月ほどかかるので、早めに申請しましょう。

審査に通ると金融機関から通知が届くので、これで口座の開設は完了です。

iDeCoを運用して老後資金を蓄えよう

今回は、iDeCoについてご紹介しました。

それでは簡単にまとめます。

■iDeCoのメリット

  • 運用で得た利益が非課税になる
  • 掛け金すべてが所得控除を受けられる
  • 受け取り時に税制優遇が受けられる

■iDeCoが向いている人

  • 老後資金を貯めるために運用したい方
  • 節税対策をしたい方
  • 所得が多い方
  • 自営業・フリーランスの方
  • 20代~30代の方

iDeCoは所得控除が受けられ、受け取り時にも控除の対象になるため、節税効果の高い制度です。

注意点も踏まえ、将来のために今からコツコツと資産を積み立て、老後にゆとりある生活を送れるよう備えましょう。

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この記事を書いた人

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